エアコン掃除どうしてますか?
「エアコン掃除を業者に頼むと1台あたり1〜1.5万円もする。それなら電気代を払ったほうがマシでは?」
「掃除スプレーを使えば自分でやれるし安く済むのでは?」
そう考えている方は多いはずです。しかし、技術的な視点で見ると、その判断は「年間数万円の損失」を招いている可能性があります。
今回は、東芝製エアコンと電力モニターを使用し、エアコン掃除前後の消費電力を1時間稼働し厳密に測定しました。その結果得られた「11%の節電効果」というエビデンスをもとに、プロの清掃代が実は「高コスパな投資」である理由を解説します。

今回はエアコン掃除が節約につながることを実測検証していきたいと思います。また、エアコン掃除の料金や機種によって金額が異なることも紹介していきます!
この記事は元通信インフラエンジニアで電気技術者の筆者が技術者視点で解説していきます。使用する料金シミュレーション等は妻であるFP(ファイナンシャルプランナー)監修のもと作成しています。
エアコンクリーニングで電気代は変わる? 実測値を検証
それでは早速、エアコン掃除前後の実測結果をみていきましょう。
できる限り同じ測定条件で掃除前後の電力量を測定してみました。
【実測結果】エアコン掃除前後で電力量の違い

【測定条件】
測定場所:和室6畳
測定対象:東芝製エアコン RAS-F221PBK(使用年数5年)
測定器:電力計エコキーパー EC-05EB
室温:28℃
エアコン設定温度:25℃(風量自動)
運転時間:1時間
そしてこれがエアコン掃除前後の測定結果です。

掃除前測定値

掃除後測定値
| 項目 | 掃除前 | 掃除後 | 差分 |
| 瞬間電力 (W) | 452 W | 407 W | ▲45 W |
| 積算電力量 (kWh) | 0.72 kWh | 1.36 kWh | ▲0.08 kWh |
| この1時間の消費量 | 0.72 kWh | 0.64 kWh | ▲11% 削減 |
測定結果の分析
注目すべきは、掃除によって瞬間電力が452Wから407Wへ下がった点です。
これはフィルターの目詰まりが解消され、ファンモーターの「圧力損失」が低減。エアコンが「必死に空気を吸い込む」必要がなくなり、楽に冷やせるようになったことを数値が証明しています。
その結果、電力量が掃除前0.72kWhから掃除後0.64kWhとなり、消費電力を約11%削減することができました。これを電気料金に換算すると以下のようになります。
電気料金単価1kWhあたり31円として1時間あたりの電気料金は
掃除前電気料金:0.72kWh × 31円 = 22.32円
掃除後電気料金:0.64kWh × 31円 = 19.84円
削減電気料金:22.32円 - 19.84円 = 2.48円
つまり、1時間あたり2.48円の節約になったということです。小さい数字のように感じるかもしれませんが、1日に10時間使用した場合の節約額は24.8円となり、1カ月では約750円の節約になります。
冷暖房能力が回復し節約にもなるエアコンクリーニングは必須のメンテナンスと言えます。
エアコンクリーニングは自分でもできる? プロに依頼する理由
節約のために市販のエアコン洗浄スプレーを使う方がいますが、これは技術的に非常にリスクが高い行為です。最悪の場合、エアコンを壊すまたは火災事故を引き起こすことになりかねません。
ここではユーザーによるエアコン洗浄のリスクを3点ご紹介します。
① 汚れを「奥に押し込む」だけ
スプレーの圧力はプロの高圧洗浄機に比べて極めて微弱です。表面の汚れを溶かしたとしても、そのドロドロの汚れはアルミフィンの隙間や、さらに奥の「ドレンパン(水の受け皿)」に溜まってしまいます。
排水口が詰まるとエアコン正面から雨漏りのように水が垂れてくる現象が発生します。
② ドレンホースの詰まりと「水漏れ」
溶け出した汚れや洗剤の成分がドレンホース内で固まると、本来外に排出されるべき水が逆流し、室内機からの水漏れを引き起こします。これが原因で壁紙や電化製品を汚す二次被害が多発しています。
①と同じように室内機の詰まりを解消するためには分解洗浄が必須です。
③ トラッキング現象による「発火」の恐れ
最も恐ろしいのが故障や火災です。洗浄液が電気部品(基板や配線端子)に付着すると、絶縁不良を起こし、火花が飛ぶ「トラッキング現象」を誘発します。実際に、不適切なセルフ洗浄による火災事故は毎年報告されており、NITE(製品評価技術基盤機構)も注意を呼びかけています。
費用を安く済ませるためにセルフ洗浄を選択する方がいると思いますが、上記のようなトラブルが発生した場合はプロに依頼し分解洗浄が必要になるか、または突発的なエアコンの買い替えが発生することになります。
餅は餅屋というように、エアコンの洗浄も専門家に依頼するのが間違いない選択だと言えます。
ユーザーで実施できるメンテナンスは?
ユーザーで実施できるメンテナンスも当然あります。常日頃からエアコンの状態に気を配ることで良い状態を維持することができます。
- フィルターの清掃:フィルター部分のホコリを掃除機で吸うだけでもOK!汚れが酷い場合は水洗いをし、完全に乾いてから取り付けて下さい。
- ルーバーの拭き掃除:風の吹き出し口にもホコリが溜まります。静電ブラシなどで拭き取ってください。
- 室外機周辺の掃除:室外機周辺20~30cmはスペースを確保してください。伸びた草や障害物は撤去しましょう。
- 送風運転によるカビ予防:冷房使用時や湿度が高い時期はエアコン内部が結露で濡れています。「送風運転」や「内部クリーン」などで乾燥させることがカビ予防になります。
プロによるエアコンクリーニングは何をしてる? 詳しく解説
今回エアコンの掃除を依頼したのはハウスクリーニングを手掛けているユアマイスター
という会社です。3年ぶりの清掃でリビング、和室、寝室の計3台を1日でお願いしました。
エアコンクリーニングの作業内容がわかりやすく紹介された動画がありましたので貼り付けておきます。
実際に依頼した内容と金額はこちら
お掃除機能付きエアコン分解洗浄×1台の料金:15,000円
お掃除機能なしエアコン分解洗浄×2台の料金:9,000円×2台=18,000円
その他、ドレンホース交換・洗浄:5,000円
合計金額:38,000円
割引料金:3,000円
支払金額:35,000円
作業は10時から始めて、お昼を挟んで15時には終わりました。毎回言われることですが、お掃除機能付きのエアコンは分解に時間がかかる上に故障リスクも高いため手間がかかり大変だそうです。
わが家は3年に1回の頻度で3台まとめて依頼しているので、エアコンメンテナンスに必要な費用は年額にすると約12,000円ほどになる計算です。1台あたりだと約4,000円/年ということですね。
エアコン清掃代は節電で回収できるの? シミュレーションで検証
それではエアコンクリーニングによる節電効果で清掃代金を回収できるのかシミュレーションしてみましょう。
清掃頻度はわが家と同じ3年に1回と仮定します。今回の実測値(1時間あたり0.08kWhの削減)をもとに、清掃直後は節電効果が最大、3年後に節電効果はゼロになるように考えます。
※今回のシミュレーションではエアコン本体の経年劣化は考慮しないものとする
また、計算を簡略化するためエアコンの使用期間を以下のように定義します。
使用時間:10時間/日
使用期間:年中
節電効果:0.08kWh × 10時間 ×30日 = 24kWh/月
減衰年月:3年(36ヶ月)
最近では温暖化の影響もあり、春と秋がなくなり夏と冬のみの二季化とも言われています。そのため年中エアコンを使い続けることが珍しくない状況です。
エアコンクリーニングによる節電効果の経時変化シミュレーションの結果をグラフにしてみました。

清掃直後から36ヶ月かけて節電効果が直線的に減衰していく簡易的なグラフです。使用期間全体で得られる節電効果は次式で求められます。
総節電量 = 36ヶ月(最大節電量24kWh + 最小節電量0kWh)/2
総節電量 = 432kWh
3年間でエアコン1台あたり432kWhの節電効果があることになりました。
これを電気料金に換算すると
電気料金単価 31円/kWh × 432kWh = 13,392円の節約
【結論】
お掃除機能なしエアコンの場合、3年に1回のプロによる清掃で十分元がとれる。
お掃除機能ありエアコンの場合、3年に1回のプロによる清掃では若干足が出る。
お掃除機能ありエアコンでも複数台同時施工やキャンペーン適用などで割安になる場合もあります。また、季節の変わり目など繁忙期でなければ安くなることもあるので、情報をチェックし賢く利用しましょう。
エアコンクリーニングがもたらすメリット
エアコンクリーニングは節電効果以外にも実施すべき理由があります。
① エアコンの寿命を延ばす
今回使用した「RAS-F221PBK」は2020年製です。最新の同等機種への買い替えには工事費込みで10万円前後の費用がかかります。
内部清掃を怠り、高負荷運転を続けるとコンプレッサーの寿命が早まります。この機種はお掃除機能なしタイプなので約1万円の清掃で買い替えを数年延ばせれば、それだけで数万円の価値があります。
② 医療費とパフォーマンスの維持
湿気の多い日本ではエアコン内部はカビの温床になります。吹き出されたカビを吸い込むことによる夏風邪、アレルギー、喘息を引き起こすことにもなり、そうなれば健康を害するどころか医療費も馬鹿になりません。
なんといっても、冷暖房能力を最大限発揮できる状態を維持することが快適な暮らしにつながりますよね。
まとめ
今回の検証により、エアコンの「空気の通り道」を確保することが、どれほどダイレクトに消費電力に反映されるかが明らかになりました。
最後に、本記事の内容をエンジニア視点で3点にまとめます。
- フィルター清掃だけで「燃費」が10%以上改善する 実測値で瞬間電力が452Wから407Wへ低下した通り、空気の抵抗を減らすことは直接的な電気代削減に直結します。
- 清掃費用は「3年」でペイできる 3年間で約13,000円の節電効果が見込めるため、3年サイクルの清掃で実質負担額がゼロということになります。
- セルフ洗浄スプレーは「安物買いの銭失い」のリスク大 汚れの押し込みや基板への浸水による故障・火災リスクを考えると、プロに「安全」と「徹底洗浄」を委ねるのが最も論理的な選択です。
もはやエアコン掃除は「贅沢」ではなく、「家計の固定費を最適化し、資産を守るための賢い投資」です。
「最近、冷えが悪くなった」「風がカビ臭い」と感じているなら、それはエアコンが悲鳴を上げているサインです。致命的な故障を招く前に、信頼できるプロにメンテナンスを依頼しましょう。

この記事が少しでも読者の方のお役に立てたなら幸いです



